埋葬のイノベーション

新しい葬儀と同様に、新しい「埋葬」のスタイルが次々に登場しています。
先祖代々の墓に埋葬されるという従来のスタイルが変化していることは今までに見てきましたが、さらに「自分らしい」というキーワードで、様々な形態の埋葬が登場しています。
核家族が進む中、墓参や墓守の軽減という視点で生まれた埋葬の形です。
「埋葬のイノベーション」と呼んでもいい、そうした埋葬を紹介しましょう。
納骨ではなく「散骨」です。いわゆる「海洋葬」「樹木葬」などが有名な、遺灰を海や山にまくというものです。埋葬に関しては法的な制限がありますが、そうした中で、さまざまな散骨の方法が誕生しています。
また「永遠葬」というコンセプトで、宇宙に遺灰を打ち上げる「天空葬」、月に向かって霊魂を送ったりする「月面葬」と呼べるものまで登場しています。

埋葬の歴史
散骨は新しい葬儀と思われがちですが、9世紀に淳和天皇が墓を作らずに遺灰を林野にまいてほしいと遺言を残し、天皇の希望はかなえられました。
現在のような埋葬のスタイルができたのは、明治初期のことです。火葬が広まり、一つの墓に何人も家族の骨を納めるという家族葬のスタイルが一般化しました。
俳優の石原裕次郎の散骨が有名ですが、海外でもマルクスの盟友エンゲルス、インドの初代首相ネール、俳優のジャン・ギャバン、歌手のマリア・カラスなどもそれぞれの遺言により海、川、林野に遺灰がまかれました。