すぐに始めたい「運動」「食事」の改善

老後の不安はお金と健康です。お金の心配は専門家に相談するとして、自分の体のケアは心がけ一つで、豊かな老後を実現できます。
なかでも心配なのが認知症。発症リスクを抑える生活習慣や脳を活性化させる予防策を紹介しましょう。

認知症のリスクを上げるのが、糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病。いわゆるメタボが原因といわれるものです。その有効な対策が運動にあります。
とくにおすすめなのが、有酸素運動。全身の血行をよくし、脳を活性化させます。
具体的には、1日20分~60分、週3~5回の遠足ウォーキングです。ただ、せっかく時間を使って行うなら、次のことを心がけてください。
大股で腕を大きく振り、軽く息が弾み、汗ばむくらいのペースで歩くことです。よく、毎日スーパーへ買い物に歩いていっているので、ウォーキングをしています、という方がいますが、手に買い物袋をぶら下げてのんびり歩いていては運動になりません。
さらに歩きながら、脳を使いましょう。デュアルタスクというのですが、2つのことを同時に行うことで、より脳が活性化します。たとえば、二人ならしりとりをしながら歩く、ひとりなら「あ」のつく言葉を探しなら歩くといった具合です。
運動はやはり継続することが何より大切です。「運動をしないと、なんだか落ち着かない」――そんな気持ちになってきたら、習慣化されたという証拠。ぜひ継続してください。

私たちの体は食べ物で作られています。当然、脳の栄養が不足すれば認知症になるリスクが高まります。
まずはカロリーの摂り過ぎへの注意。現代人は動物性脂肪や糖質(炭水化物)を摂り過ぎているといわれています。中年時に肥満だった人の認知症発症率が高いという研究結果も報告されています。
それではどんな食事をすればいいのでしょうか。
たとえば主食を白米ではなく、玄米や雑穀米といった低GI食品と呼ばれるものに変更してみましょう。パンもライ麦パンなどは低GI食品になります。毎日の食事にうまく取り入れていきましょう。
積極的に取り入れたい栄養素は、DHAとEPAです。これは一般にω–3(オメガスリー)と呼ばれている脂肪酸で、脳神経細胞同士の情報伝達に欠かせない成分です。脳細胞の6割が脂肪でできていますから、認知症予防に欠かせない栄養素です。
具体的な食品は、マグロ、ブリ、サンマなどの魚の脂に多く含まれています。
次にポリフェノール、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなども脳や体の酸化を防ぐ栄養素だといわれています。緑黄色野菜類や赤ワインなどに多く含まれている栄養素です。

歯があるか、ないかが認知症に大きくかかわっていることが報告されています。
厚生労働省が65歳以上の4425人に対し行った調査によると、20本以上歯がある人に対し、歯がない、あるいは義歯使用の人の認知症の発症リスクは1.9倍もあるといいます。
原因としては、ものを噛む際に、歯と骨の間にある歯根膜から脳に刺激が伝わり、それが脳細胞を刺激すると考えられています。義歯ではそれは伝わりません。
では歯を守るための対策を紹介しましょう。歯が抜ける原因は、「歯周病」と「虫歯」です。
毎食後の歯磨きを励行すること。その際、フッ素入りの歯磨きを使い、軽くすすぐようにしましょう。また寝る前の歯みがきも大切です。
あとは、かかりつけの歯科医院を見つけることです。定期的なケアがあなたの大切な歯を守り、認知症対策にもつながります。