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「ありがとう」の手紙

あれはちょうど1年ほど前のお葬式でした。故人はまだまだ働き盛りの男性で、奥様と3人のお子さんの5人家族でした。
私は最初の打ち合わせに立ち会うことができず、後日引き継ぐかたちでの担当でした。初めて喪主様にお会いしたのは、ご自宅に葬儀の準備でうかがったときでした。ご主人をなくされてひどく落ち込まれているなか、「私が喪主です」と葬儀の段取りや準備を気丈に行われていた奥様が印象的でした。
当日、出棺のためにご自宅へうかがうと、奥様から「相談があるのですが・・・・・・」と言われました。そしてすこしの沈黙の後に、手紙を差し出されました。
「この手紙をお葬式で読んでいただきたいのですが、駄目ですか?」
「ご自分で読まれてはいかかですか」
奥様は手紙を読む自信がないと言われました。葬儀の準備など、疲れ切ったご様子を見て、私が代読させていただくことになりました。
その手紙は、昨晩親戚の方々が帰られたあとに書かれたそうで、大学ノートに書かれたページを破いたものが三つ折りになっていました。手紙にはご主人を病気で亡くされた悲しみ、そして感謝、子供たちを任せてとのご自分の決意、お見舞いに訪れた方々への感謝の気持ちが書かれていました。
「あなたが最後に『ありがとう』と言ってくれたこと、それが私たちの心の中に残り、生きる力になります」と結ばれていました。
 手紙からは、奥様のご主人に対するあふれんばかりの思いが伝わってきます。前日の気丈な奥様が思い出されました。本来ならば、いちばん悲しいはずの奥様が子供たちを励まし、周りの方々を気遣う姿には心が打たれ、私も熱いものが込み上げてきました。
そして式は始まり、お手紙を代読するときがやってきました。私は感情を抑え、ゆっくりと読み上げてました。
内心、この手紙の内容を皆様にうまく伝えることができたかどうか不安で、私の心臓の鼓動は読み上げた後のほうが、高くなっていました。
ふと周りに目をやると、下や上を向いたまますすり泣く声が聞こえてきました。そのとき、私は、奥様の気持ちを伝えることができたのだと安堵しました。
無事に式も終わり、自宅に戻られて緊張の糸が切れたのか、奥様は泣き崩れてしまわれました。
すると、長男を中心に家族の皆様がやさしく奥様の背中をさすっておられる姿が目に入ってきました。その姿は、今でも目に焼き付いています。家族のあり方を深く考えさせられる一日となりました。
最後に、手紙にはもうひとつ印象深い言葉がありました。
「ありがとう。我が同志のあなたへ」それは奥様からご主人への、最大の愛情表現だと感じました。

33歳 男性 K・S(紫雲閣スタッフが見た、感動の実話集『最期のセレモニー』より)
 

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