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二度目のお通夜

長期入院をされていた末の、ご主人の葬儀でした。
長い間の入院生活を送られていたご主人を支え続け、看病・介護をされていた奥様が喪主を務められました。
打合せからお通夜まで、喪主の奥様は本当に大変でした。
私たちは式の準備のお手伝いは出来ますが、喪主は故人の遺志を受け止め、それをたくさんの人たちに伝えなければいけません。
疲れ果てた様子の奥様の姿から、深い悲しみが伝わってきました。
お通夜が終わり、すこし落ち着いた頃、奥様が突然倒れられました。
すぐに救急車で病院に運ばれましたが、残念ながら帰らぬ人になってしまったのです。
ご主人に続いての奥様のご逝去。親族一同があわてふためいている中、私が翌日のご主人の葬儀と奥様のお通夜・葬儀のことでご親族を前に説明しているときでした。
「もう一度、一緒にお通夜をしてあげよう」
一人の男性が言われました。
「すみません。もう一度、お通夜をやってもいいですよね」
私に向けられたその質問に、私は大きくうなずいていました。
それからご親族との話し合いの上、ご主人の火葬手続きをやり直し、葬儀の日程を変更して、奥様のお通夜、そしてご主人の二度目のお通夜の儀を執り行うこととなりました。
二つのお棺を並べてのお通夜・葬儀でした。
お二人も一度に亡くなられ、親類、縁者の方々には思いもかけない出来事であったと思います。
お寺様も、お参りに来られたご近所の方も、みんなそうだったと思います。でも、二人一緒に旅立たせてあげたい、そんなみんなの気持ちが実現したものでした。
ご主人が一人になる奥様を心配するあまりの、二人での旅立ちであったのかもしれないと親類縁者の方々が話されていました。
夫婦の絆を感じずにはいられない、そんな葬儀でした。

53歳 男性 K・M(メモリアルスタッフが見た、感動の実話集『最期のセレモニー』より)

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